●STGと受験勉強





これは僕の私見ですが、STG(シューティングゲーム)をクリアーするための方法論は、大学に合格するための受験勉強と極めて似通っていると思います。
どこが似ているかといいますと、STGも受験勉強も、適切な計画を立て時間を掛ければ、クリアーもしくは合格できるということです。

僕はSTGなんて初めて見たときは「これはゲーム仙人が遊ぶゲームだから、僕のようなゲーム下手は一生掛かってもクリアーできないだろう」と思いましたが、2年ほどプレイした挙句、エスプレイドがクリアーできるようになりました。
STGはクリアーできないゲームではないのです。
僕のようなヘタクソがクリアーできたのだから、たぶんほとんどの人は大丈夫だと思います(緋蜂を倒すとか、ドゥームを倒すとかは別の話)。

受験勉強の方は高校で3年間勉強したら早稲田に受かりました。
これは僕自身は「まあ大丈夫だろう」と楽観視してましたが、高校での成績は最後まであまり良くなかったので、周りは無理だろうと言ってました。
でも、まあ受かりました。早稲田は受からない大学ではないのです。
僕は特別に頭の回転が速いとか、天才的な閃きができるとか、そういうことはないですけど、それでも受かりました。
だから、ほとんどの人は大丈夫だと思います。

結局、両者に共通する要諦は「計画」なのです。
STGも受験勉強も、「才能」ではなく、「計画」で対処できることなのです。
このページではSTGと受験勉強、両者へ共通する「計画」について、その類似性を指摘しつつ、論を進めたいと思います。
これは、ひいては僕のSTG論、受験勉強論となります。

注1)「お前はSTG論など語れるほど上手くないだろうが」「お前が受験勉強を語るな」などのもっともなご意見はひらに御容赦下さい。
注2)ここで言うSTGはいわゆるCAVE系弾幕ゲーム。もっと限定すればエスプレイドと考えてください。怒首領蜂、ケツイ、エスプガルーダあたりを考えてくれてもOKです。
注3)僕は典型的な私立文系タイプなので、数学とか理科とかは置いといて下さい。


0、目的

論を進める前に、まずはSTGと受験勉強の目的を定義しておきましょう。
STGの目的は「クリアー」「スコアアタック」など、いろいろと考えられますが、ここでは「クリアー」を目的と定めます。
残機0だろうが残ボム0だろうが、クリアーすればOKという態度です。
受験勉強の方は「大学合格」に的を絞ります。
「基礎知識の習熟」「人格修養」「論理的思考の練習」などは置いといてください。

注4)僕はSTGを「計画を立てるゲーム」と、半分シミュレーション気味に考えているので、残機0、残ボム0でのクリアーを理想としています。この態度はたぶんすごい少数派だと思います。


1、前提となる知識の修得

STGの場合は、まずはプレイに必要な最低限の知識を得ましょう。
インスト(説明書)を読み、ゲームシステムの理解、ボタンの把握に努めます。
受験勉強でも、数学なら四則演算を覚え、英語ならアルファベットが書けるようにしましょう。


2、基礎的な知識・技術の修得

STGには、いくつか覚えておかなければならない知識があります。
その一つが切り返しです。
切り返しを乱暴に説明しますと、敵弾が全て自機を狙ってくるならば、自機は画面中を大きくV字型に運動すれば敵弾幕の間に避けれるだけの隙間ができる、というものです。(詳しく知りたい人はここを見てください)
この「切り返し」は、たとえばエスプレイドの5面後半や、エスプガルーダの5面後半で必須のテクニックです。
知らなければ(もしくは自力で編み出さなければ)対処できません。
弾幕系STGの、あの凶悪で極悪非道な鬼のような弾幕は、実は「知識」によって対処されているのです。
決して「才能」による「脊髄反射」だけで対処している訳ではありません。合理的な方法論に則って対処しているのです。
「切り返し」その他、合理的な対処方法を知識として学ぶことはSTGにおける基本といって良いでしょう。

同様に、受験勉強においても、英単語や数学の公式、漢文の読み下し方などは基礎的な知識です。
知らなければ話になりませんので、だるくても頑張りましょう。


3、敵を知ろう

STGにしろ、受験勉強にしろ、大切なのは「計画」だと最初に書きましたが、「計画」を立てるためには、必ず知らなければならないことが二つあります。
それは「敵」と「己」です。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
金言です。まさにその通りだと思います。

STGにおいて敵を知る手っ取り早い方法は、コンティニューしまくってでも、最後までプレイすることです。
それを何度も繰り返し、どのようなシーンの後に、どのシーンが来るのか、敵ボスの攻撃パターンはどんななのか、それを覚えるのです。
もちろん、1面とか2面とかでてこずってるレベルでは、最終面などはアッという間に死んで、生き返って、その繰り返しとなるでしょう。
ですが、これは敵を知る、つまり敵の全容を把握するための作業なので、それでOKなのです。

ところでコンティニューに関してですが、コンティニューをして先に進んでしまうと、自力で初めて到達したときの喜びとか感動とかが薄れるという弊害があります。
STGは受験勉強と違い、「楽しむため」にクリアーを目指せるので、精神と時間に余裕があるならノーコンティニューで先に進んだほうが良いでしょう。
また、アーケードゲームであれば、経済的な問題からコンティニューができないかもしれません。
この場合は「進んだところまで」が「自分が知っている”敵”の姿」となります。

一方、受験勉強にはリミットがあります。
人生で一度しかないのだからぜひ大学浪人を経験したい、という奇特な方以外は、高校3年間しか時間がないことになります。
ですから、できるだけ早く敵の全容を把握するべきです。
そして、そのためには、一刻も早く志望校の赤本(入試過去問題集)に当たるべきです。
理想的には高校入ってスグにでも志望大学を定め、遅くとも一年の夏にはその大学の赤本に当たるべきでしょう。
なお、このときの赤本はその年の最新のものを用いて構いません。
どうせあなたが3年生になる頃には、3年前の入試問題です。
もちろん、このときのあなたの成績はボロボロのメタクソだと思います。
英語長文は何を言ってるのかさっぱり分からないし、現代国語もおよそ同じ人間の書いたものとは思えない難解さでしょう。
しかし、このときの目的は敵を知る、つまり、どれほどの難解さであるのかを身をもって知ることですから、全く問題ありません。


4、己を知ろう

敵(STGクリアー、志望大学)の難解さを身をもって知ったならば、次は自分が現状でどの程度、その難解さに太刀打ちできるのかを把握しましょう。
STGの場合は簡単です。
ノーコンティニューでどこまで進めるのか、どこでボムを使っているのか、などを把握すればOKです。

受験勉強の場合は注意が必要です。
自分の実力を知るのに、まったくクソの役にも立たないものがあり、それに多くの受験生は惑わされるからです。
それはいわゆる模試というもので、「河合模試」「駿河台模試」などが、私の現役時代は横行していました。
テストの雰囲気に慣れるために受けることは悪いことではないですが、アレに付いてくる合格可能性判定とかいうのはクソの役にも立ちませんので、ムシして構いません。
本当の合格可能性を知るには、志望大学の赤本しかないと考えてください。
例年の合格点を越えたならば、合格可能性が出てきたということです。


5、具体的なケースに対処する

STGも受験勉強もこれが一番大切であり、そして、もっとも多くの時間を要するところです。

STGにて「己を知った」ならば、自分が進行できる範囲内で、自分がどこでミスをしたのか、それも把握していると思います。
たとえば、そのSTGが残機3からのスタートで、残機が増えないまま3面でゲームオーバーになったとすれば、ゲームオーバーの地点までで、あなたは3回ミスをしたということなのです。
そのミスをしたポイントで、あなたはどのような行動を取り命取りになったのか、それを考えます。
そして、「今度はこうしよう」「次はこれを試してみよう」と試行錯誤します。
自分の仮説が実際に上手く機能し、そこでのミスの可能性を減らすことが出来たなら、その喜びはとても大きなものでしょう。
これを「パターン作成」と言います。
うまくパターンが出来ないときは、後述しますが、人のプレイを見て参考にしたり、ボムで切り抜けたりしましょう。

一方、受験勉強においては、どうして自分がこれほどズタボロな点数になったのかを考えましょう。
「まだ一年生だから仕方ないや」「全体的に何もかも不足してるし、いま考えても意味がないや」などと思考停止してはいけません。
それでは、早いうちから赤本に手をつけた意味がないからです。
「まだ一年生だから出来なくて当然」という結論は、赤本をやらなくても分かることです。
実際にあなたが低点数だったのは、「まだ一年だから」であり「全体的に何もかも不足しているから」なのですが、そうであっても、赤本からは「その大学がどのような技量を学生に求めているのか」を抽出できるはずです。
例えば、極端な例ですが(そして私の現役当時の話ですが)、早稲田の第一文学部に受かるためには、英語は読めさえすればOKでした。
書く・話す・聞き取る、といった能力はほとんど求められませんでした。
また、慶応大学文学部では、英語は辞書の使用が許可されていました。
これは、早稲田では「英語は読む能力が何よりも大切」と考え、慶応では「辞書を使ってでも読める力があれば良い」と考えていたということです。
その代わり、早稲田では英和辞書に載ってないようなマイナーな英単語が出てきたり、特殊な形式の問題が出たりします。
例えば、STGで「切り返し」など、基礎ばかりやって基礎が完璧になったからといって、どのSTGをやっても初見でクリアーできるわけではないように、受験も、英単語や英語構文などの基礎にだけ時間を掛けていても、その大学の特色(特異なケース)を把握することなく合格するのは難しいのです(もちろん、英語の基礎が完全に完璧ならそれだけで合格できるかもしれませんが、費用対効果を考えると私たち凡人には非現実的です)。
受験勉強においても「一つ一つの特殊なケース」に対応できるよう練習するべきでしょう。
具体的には、早稲田の第一文学部であれば、英語長文をスピーディーに最後までヘコたれずに読み終える精神力や、分からない単語を類推する能力(辞典に載ってない単語は覚える必要はありません)などを獲得しましょう。
ライティングやリスニングなどは、記憶の定着効率を考えれば全くやることに意味がないとは言いませんが、やはりメインは「要求されている」能力を伸ばす方向にシフトするべきでしょう。時間は有限なのです。
赤本を入試直前しか用いない人は、このことを完全に失念していると思います。

(なお、私は英語は(適当に)読めるだけで、書いたり話したり聞いたりは全くできません。いくらなんでも、もう少し勉強した方が良かったかもしれません)

英語長文を読んでてヘコたれたなら長文を読む練習、単語が分からなくてチンプンカンプンなら単語を重点的に、このように己に足りないところを適宜対処していくのです。
全国統一模試で「己を知る」ことができないのはこのためです。
アレは自分の能力が「全般的に見て」どれが足りないのか示してくれますが、自分の能力が「志望校に合格するために」何が足りないのか教えてくれないからです。
あなたの目的が「模試で一位を取る」ことでなく、「志望校に合格する」ことである以上、模試の結果などに一喜一憂していてはいけません。
両親が「模試の成績が悪い」と文句を付けてきてもヘラヘラ笑ってましょう。
だいじょうぶ、合格すれば良いのです。


6、情報を収集する

STGでいいますと、ある地点であなたはいつもミスをするとして、そのある地点の攻略法をあなたは試行錯誤したとします。
しかし、どうしても上手く行きません。試行錯誤もいい加減ウザくなってきました。
そういうときはゲーセンに行って上手い人のプレイを後ろからジロジロ見ましょう。
その人がどういう行動を取って、そのシーンを攻略しているのか覚えて、自分もそれを真似するのです。
インターネットで情報を得ても良いでしょう。
情報収集もゲームの一環だと僕は考えています。

受験勉強では学校や塾の先生などと相談しましょう。
僕は「早稲田の現国、難解すぎて訳が分からない」と塾の先生に言ってみたら、「慣れなさい」とミッシェル・フーコーの『監獄の誕生』をポンと手渡されました。
他にも早稲田一文の英語は、単語の頭1文字だけ指定してある虫食い問題がありまして、これの対策のために塾の先生が頭1文字だけ残した単語問題集を作ってくれました。

STGで人のプレイを見て覚えても、実際にやるのは自分ですから、それだけでどうにかなるわけではありません。近道にはなりますけどね。
同様に先生から受験のヒントや指針を得ても実際に努力するのは自分です。でも近道にはなります。
STGは自力で攻略する方が楽しいかもしれませんが、受験は遊びではないので、その道の先達に教えを仰ぎましょう。
なお、敵と己に対する情報を一番多く保有しているのはあなた自身です。
つまり、あなたが立てる計画が一番合理的であるはずです。
ですから、先生に指針を丸投げするのではなく、あくまで詰まったところのみ尋ねる方が良いでしょう。
多くの先生はあなたの学力を総合的に向上させるアドバイスは得意でしょうが、あなたを志望校に合格させるアドバイスは比較的不得意なはずだからです。
あなたの方で、詰まっている問題を細分化し、具体的なアドバイスが引き出せるようになるまで、範囲を狭めるべきです。
「現代国語が難しい」といっただけでは現代国語の総合的向上を促すアドバイスしかもらえないでしょう。
そうではなく、「早稲田の現代国語が特に難解で、文章を読んでいても何を言ってるか分からないし、途中で疲れてヘコたれる」といえば、同じ位の難解さである『監獄の誕生』が手渡されるわけです。


7、ボム

STGにおいて、もっとも大切なのがボムを使うということです。
ボムは多くの縦シューティングに採用されたシステムで、ボタンを押した瞬間、自機が無敵となり、また敵に対しては大きなダメージを与えるというものです。
弾数に限りがあり初期が3発。アイテムを取る事で増え、ミスをするとボムの残弾数に限りなく3発に戻る、というのが良くあるタイプです。
ボムが残り0個でも、残り5個でも、死ねば3個に戻るのですから、全弾撃ち尽してから死んだ方がいいに決まっています。
ですが、弾数に限りがあるため気軽に押すことはためらわれ、しばしば多くのボムを抱えたまま死んでしまい悔しい思いをします。
逆に全てのボムを撃ち尽くして死ねたなら、今日は調子が良かった、と思うものです。
ボムを適切に用いることはとても大切なことなのです。

では、なぜボムを撃ち尽くせぬまま死んでしまうのでしょうか?
それは大きく分けて理由は二つあり、一つは「被弾するとは思わなかった」というもの、もう一つは「ボムが間に合わなかった」というものです。
前者は仕方がありません。
自分の納得しているもっともリスクの低い選択肢を選び、普段はミスしない場所でミスしたのなら、それは仕方がないのです。
人間はミスをする生き物ですから、どれほど簡単なシーンであろうとミスをする危険性は潜在しています。
この場合は(動揺が酷いと思いますが)直ちに立ち直り、強い心でプレイを続行すべきです。
一方、後者の「ボムが間に合わなかった」。
これは実に悔しいことです。
特に初心者のうちは「ボタン押したのにボムが出なかった」と腹立たしく思うことがあるでしょう。
ですが、それは実際に間に合っていないのです。機械のせいではありません。
この問題はボムに対する考え方を変えることで、かなり解決することができます。

STG初心者の人は、ボムのことを「危なくなったときに使うものだ」と考えていると思います。
ですが、それが間違いなのです。「危ない」と認識したときにボタンを押しても間に合わないのです。
本当にボタンを押すべきタイミングとは「危なくなる可能性が出てきたとき」です。
つまり、あなたが「リスクが低い」と考えているパターンから外れたときです。
いつも通りなら、ミスをする確率が3%程度のシーンで、ふとした操作ミスからいつものパターンが崩れたとしましょう。
そして、パターンが崩れたことにより、ミスをする可能性が3%から25%に上がったとします。
こうなれば、すぐにボムを使うべきです。
4回中1回ミスをするのであれば、十分ボムを使う理由になります。
「たぶん大丈夫だけど、もしかしたら被弾するかもしれない」
こう思ったときがボムを使うタイミングなのです。
先述の通り人間はミスをする生き物なのですが、このようにミスをして3%の危険性が25%に上がった時点でボムを使うことにより、そのミスをチャラにできるのです。
ボムは「人間はミスをする生き物である」ことに対するメーカー側の一つの回答といえるでしょう。

このボムの使い方を敷衍しますと、「決めボム」となります。
決めボムは、ミスをする可能性が高いシーンで、実際にミスの危険性に晒される前に自分からボムを撃ってしまうことです。
試行錯誤をしたけど、どうしても答えが出なかったとき、または人のプレイを見てどうすれば良いのかは分かったけど、自分のプレイ能力では真似が出来ないと結論したとき、そういうときにも決めボムが有効です。
決めボムは「ボムは危なくなったときに使うものだ」と考えている人には決して出来ない発想です。
(余談ですが、このパラダイムシフトは僕がSTGを始めて、もっとも感動した瞬間です。このときから危機管理に関する認識が人生レベルで変わりました)

さて、受験勉強の方を見ていきましょう。
「人間はミスをする生き物である」。それは受験も同じです。
どんな簡単な問題であれ、ミスをする可能性は潜在します。
たとえ「1+1=」という問題であっても、たとえば一兆回やったとすれば、一度くらいは間違えるかもしれません。
しかし、幸いなことにあなた以外の他の受験生も全員同じ人間です。
完璧超人はいません。
これはつまり、あなたは100点満点を取る必要はないということです。
たとえば合格ラインが70点とするならば、残りの30点が「ミスの許容範囲」、つまりボムとなるわけです。


8、まとめ

まずはSTGをまとめましょう。
最初にあなたは敵と己の現状を把握します。
スタートからクリアーまで、各面で何箇所の難所(高い可能性でミスをするシーン)があるのかを把握するのです。
たとえば、その難所が30箇所だとしましょう。
そして、あなたはボムを合計20発撃てるとします。
単純計算しますと、難所30箇所のうち20箇所はボムを決め撃ちすることで解決できるのです。
となれば、あなたは残り10箇所の難所のうち、どことどこを自力攻略(ボムなしでの攻略)するか考えます。
たとえば、シーン15ではミスの確率は50%、シーン20ではミスの確率が80%だったとします。
となれば、シーン20は決めボムで安定、シーン15のミス確率を減らすことを考えます。
ミスの確率は「よりリスクの低いパターンの確立」「反復練習」により、パーセンテージを下げることができます。
新しいパターンの確立や反復練習により、シーン15のミスの確率が50%から3%まで落ちたならばOKです。
同様に残り9箇所もリスクを下げていきましょう。
ただし、「人間はミスをする生き物である」ことを忘れてはいけません。
3%のシーンが10箇所もあれば、そのうちどこか1箇所でミスをすると考えるべきです。
他の1%未満の危険性のシーンでもミスをするかもしれません。
そうであるならば、ボム計画に「あそび」をもたせるため、決めボムで安定している20箇所のうち、さらに5箇所くらいをボムなしで進めるようにしましょう。
これであなたは、操作ミスにより発生する危険性を、5回まで回避することができるようになるのです。
そして、あなたの計画通りに進めることができたなら、残機0、残ボム0に近い状態でクリアーできるでしょう。
あなたは自分の立てた計画通りにゲームを進め、コンプリートしたのです。
ノーミスノーボムでクリアーすることも楽しいとは思いますが、僕はこういう楽しみ方もあると考えています。

次に受験勉強です。
STGと受験勉強の最大の違いは、受験勉強には3年間というリミットがあることです。
受験勉強では、まずあなたは赤本にあたることにより、敵の強大さ、己の無力さを実感します。
そして、敵の強大さを目の前にし、なぜ自分は無力なのか、具体的にどこをどうすればこの強大な敵に立ち向かえるのか、そのポイントを具体的に明確化します。STGでいえば「難所を見極める」のです。
そして、その大学の合格ラインが70点だとすれば、あなたには最初から30点分の「決めボム」が与えられています。
たとえば、例年同じ傾向で出題される大問が4問あったとし、そのうち大問1は比較的簡単で、大問2がとても難しかったとしましょう。
となれば、大問1はほぼ満点が取れるようにすべきです(STGでいえばリスクを3%まで下げるということです)。
そして、大問2は「決めボム」で失点できる範囲を設定し、最低取らなければならない点数を獲得できるよう努力します。(「大問2は15点は落とせるから、最低10点取れるようにしよう」など)
「人間はミスをする生き物」ですが、反復練習により大問1をミスする可能性は下げることができますし、「あそび」を持たせるために大問2が「最低10点だけど、調子が良いときは15点は取れる」という状態にできればベターです。
15点取れれば、5点分、他の箇所でのうっかりミスをカバーすることができるのです。
このようにして、STGと同様に、要求される力量を満たせるよう努力すれば良いのです。
ただし、3年間というリミットがありますから、STGのように難所の攻略に無制限に時間を費やせるわけではありません。
時々赤本にあたり、自分の学力が必要とされる学力にどの程度達しているのか、学力の上昇具合と費やした時間の関係はどうか(費用対効果)などをチェックし、場合によっては決めボムの使い方を考えなおす必要もあるでしょう。

結局のところ、STGにしろ受験勉強にしろ、クリアーおよび合格に必要なのは、「現在の自分の力量」と「最終的に必要とされる力量」を認識し、「最終的に必要とされる力量」を獲得すべく計画的に努力・実践することです。
STGは遊びなので闇雲にやってても楽しいならそれでOKですが、受験は遊びじゃないし時間も限られてるので闇雲にやるべきではありません。
「受験は適切な計画が立てれた時点でほぼ合格している」と僕は考えます。
全体的な学力を漫然と向上させるのではなく、計算により割り出した必要とされる学力を計画的に満たしていくのが、受験の大切なところであり、多くの人の盲点だと思います。
受験にはクリアー(=合格最低ライン)があるのです。

STG:(全体の難所の数)+(操作ミスによる被弾の可能性)-(ボムで解決できる難所の数)=(これから自力攻略すべき箇所)
受験:(全体の失点)+(うっかりミスによる失点の可能性)-(失点の許容範囲)=(これから獲得すべき学力)


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